きっかけは突然の事故から

 ２０００年頃スノーボード中の事故で脊椎を圧迫骨折しました。

突然その日から、歩けなくなりました。

旅先で４ヶ月の入院生活となり途方に暮れましたが

わたしを最も困らせたことは

旅に履いて行ったスリムなジーンズが入らなくなったことでした。

一生　クルマいす　という重大なテーマより

目先のジーパンが入らないという事の方が、わたしにとっては

ずっとずっと大問題でした（笑）

元々、文化服装学院で洋服について学んでいたわたしは

以降その　大問題　について考える旅に出る事になったのです。

入院生活で太ったわけではなく、むしろやせたのに

どうして、ジーパンが履けなくなってしまったのだろう・・・・？

当時、そんなことばかり考えていました。　

 自己流で試してみる日々

 専門学校を卒業してから受傷するまで、４年間くらいのブランクがありました。

その間、洋裁とは一切関わりのない仕事をしていたため

専門学校を卒業したとは名ばかりで

そのプロセスをきれいさっぱり、忘れ去っていました。

もう一度、基礎から学び直す必要がありました。

パターンスクールに通い、自分なりに出来る範囲で再スタートし

試行錯誤をはじめます。

履きづらいパンツを切ったり貼ったりしながら履きづらい原因や箇所を

確認していきました。履けなくなったデニムを沢山研究のため

切り刻んでしまいました（デニムさん達、ごめんよ）

これでOK！と思っても自分の体で試しているので、クルマいすに座ったままでは

後ろ姿やサイドが見えず、ベットに移ったり、床に座ったり・・・

クルマいすに戻ると着崩れをおこしてやり直し。

 そんな事が何度も何度も続き、

繰り返し繰り返し、ようやく座位のカタチがつかめてきました。

偶然？？の出会い

わたしの中の大問題だった、スリムなジーパンが履けなくなった理由や

対策が何となくわかり始めた頃、専門学校でお世話になっていた恩師より

ハンディキャップをもった方達のショーを手伝ってくれない？

というお誘いを受けました。

内容はわたし自身もモデルとなって

クルマいすでも着易い服を製作することでした。

アイテムはベスト、スカート、ブラウスです。

人前に立つのは正直イヤだったのですが

大好きな恩師のお誘いだったため、断れませんでした（笑）

その後そのショーは３年続き

わたしの母校がサポートしておりましたが

２年目のショーをテレビで偶然見かけた岡山県の児島にある

とある会社の方が、こういう分野のウエアーがないことに興味をもたれ

恩師を通してお会いすることになりました。

こうして、さかさまデニム開発へとつながっていくことになるのです。

紆余曲折

声をかけていただいた会社さまと共同で

製品をつくっていく事になりました。

かなりの偶然でその会社は日本のデニム発祥の地である

児島にある会社でした。デニムはお手の物です。

わたしはパターン供給というカタチでかかわっておりましたが

わたしなりに譲れない点と

会社として聞き入れられない点とがそれぞれにあり

両者が相容れることは残念ながらありませんでした。

サンプル段階での出来事でした。

結果として、販売のド素人のわたしが

構想から販売までの一切を行うことになってしまいました。

右も左もわからないことだらけでしたが

助け船を出して下さった様々な方のおかげで

ようやく製品化まで漕ぎ着けることができました。

はじめにお声をかけていただいてからまる２年が経過していました。 

さかさまデニムとは

自分用につくっていた座ったカタチのパンツやスカートを

母校の講義で生徒達に見せた際、単純にカタチとして

おもしろがってくれたのが、わたしとしてもカルチャーショックでした。

しばらくファッションから遠ざかった生活をしていたため

遊びゴコロを忘れてしまっていたのです。

若いこのアタマはとても柔軟で、素敵です。

自分でも学生の頃を思い出すととんでもない格好をしていました（笑）

座ったカタチは立って着てみると

お尻がポッコリでて可愛いんです。

ファッションにおいてのユニバーサルデザインとは

コレだっ！！と思ったのです。

発想の転換をしただけで

発想を”さかさま”にしただけで

ハイ！さかさまデニムの誕生です！！